コンパクトシティに潜む罠~失敗再開発は繰り返すな
日本各地の地方都市が大なり小なり取り組まなければならない共通の課題としてコンパクトシティがある。
膨張をつづけた都市が、人口の減少により反対方向のベクトルに向けて縮小しなければ、行政コストが賄いきれなくなってくるからである。
いくつかの地方都市でコンパクトシティ的な取り組みが為されてきた。
青森市もその一つである。
青森市では駅前の「新町商店街」が、空洞化による没落から抜け出す為、商店街の力を集めて再生にこぎつけた数少ない事例と言われてきたが、その一角に「コンパクトシティ」のコンセプトを体現する再開発ビルとして「アウガ」が建っている。
アウガ建設にあたっては第三セクターを設立して事業がスタートした。
しかし、キーテナントとなるはずだった西武百貨店は撤退し、市の図書館が入居するという不安な船出であった。
以来、経営状態は芳しくなく、昨年暮れには「アウガの再生検討プロジェクトチーム」が出した結論は「商業化は実現可能性が低く、採算上も成り立たない」というものであった。
コンパクトシティとして駅近に商業拠点をという計画は、拠点施設の経営上の問題でうまくいかないことが露呈したのである。コンパクトシティという概念が成立しないということは、地方都市は寂びれゆくばかりであるという現実を突きつけてくる。
参照 ⇒ 西武も逃げ出した青森駅前再開発ビルの今
- コンパクトシティの拠点はどこが相応しいのか
- どこを中心にして街を形成するのが良いのか答えが見つからない
- 駅前が常に中心であるとは限らない
地方都市それぞれで中心に相応しい場所を探し出さなければ、今後もコンパクトシティの失敗事例だけが出てくることになる。