亀の翁・三年熟成が日本酒ランキング1位になったが買うことができない
アメリカのワイン評論家であるロバート・パーカーが発行するワイン情報誌「ワイン・アドヴォケート」内で、日本の純米吟醸酒・大吟醸酒の評価ガイドを発表した。
評価のついた全78銘柄には買い付けが殺到し、もう購入することは出来ない模様だ。
評価された銘柄は厳選された800種類から選ばれたもので、日本酒ファンにとっては興味深々の銘柄ばかりだ。
そして最高評価を得たのが、98PPが付いたのが久須美酒造の「純米大吟醸 亀の翁 3年熟成」だ。
*PPとは「パーカーポイント」と呼ばれるパーカー氏がワインに対して付けている評価点のこと。基礎点が50点、味わいが20点満点、香りが15点満点、全体的な質が10点満点、色などが5点満点となっており、最高が100点となる。
参照 ⇒ ワイン・アドヴォケートが初の日本酒評価を発表|eRobertParker Online Japa
亀の翁を造る久須美酒造とは
天保4年の創業の久須美酒造。180年を超す老舗だ。
米どころ新潟県長岡市にある。
「亀の翁(かめのお)」は「亀の尾(かめのお)」と呼ばれる米から造られる。
亀の尾は明治の中頃、山形県庄内町で農業を営んでいた「阿部亀治」という人物が開発したイネだ。
強風・冷害・病気に強い品種として、大正時代には東北・北陸地方の代表的な品種であったという。
品種の名前は阿部亀治氏の1字から「亀の尾」と名付けられたという。
また亀治氏は昭和2年に藍綬褒章を受章している。
亀の尾は公的機関によってさらに品種の改良が試みられ、ササニシキやコシヒカリなどの系統に受け継がれているという。
時代は進み、世は化学肥料を使用する現代農法の時代になると、亀の尾は化学肥料に合わない品種であることが分かり、やがて米作りの世界から消えてしまった品種であった。
久須美酒造6代目当主の久須美記廸氏が、越後杜氏の長老から聞いた「亀の尾で造った酒にまさる酒はない」という言葉が、亀の尾の復活と、銘酒「亀の翁」が生まれるきっかけとなった。
こうして昭和58年の冬「亀の翁」が誕生したという。
参照 ⇒ 久須美酒造株式会社
山田錦だけではない酒米の種類
酒造米といえば「山田錦」が代表格だが、亀の尾のようにうまい酒を造る米はまだある。選ばれた78銘柄のリストには「雄町」という名も見える。
日本各地の酒米をリストアップしてみた。
- 北海道
- 初雫、吟風、彗星、きたしずく
- 青森県
- 古城錦、五百万石、豊盃、おくほまれ、華吹雪、華想い
- 岩手県
- ぎんおとめ、吟ぎんが
- 秋田県
- 改良信交、秋の精、秋田酒こまち、美郷錦、吟の精、仙台坊主
- 宮城県
- 蔵の華、星あかり、
- 山形県
- 亀の尾、羽州華三部作、酒の華、豊国、出羽燦々、出羽の里、雪女神、山酒4号、亀粋、酒未来、龍の落とし子、羽州誉、
- 福島県
- 夢の香
- 茨城県
- ひたち錦、渡船
- 栃木県
- とちぎ酒14
- 群馬県
- サケビカリ
- 新潟県
- 五百万石、越淡麗、一本〆、白藤、菊水
- 埼玉県
- さけ武蔵、白目米
- 千葉県
- 総の舞、
- 静岡県
- 誉富士
- 長野県
- たかね錦、金紋錦、美山錦、白樺錦、ひとごこち
- 富山県
- 雄山錦、富の香
- 愛知県
- 若水、夢山水
- 岐阜県
- 飛騨誉
- 京都府
- 祝
- 和歌山県
- 山田錦
- 兵庫県
- 山田穂、新山田穂、山田錦、辨慶、播磨錦、但馬強力、野條穂、兵庫雄町、改良山田錦、愛山、なだひかり、六甲錦、灘錦
- 鳥取県
- 強力
- 岡山県
- 雄町
- 広島県
- 八反35、八反錦2号
- 島根県
- 改良雄町、神の舞、佐香錦
- 山口県
- 穀良都、西海、西都の雫
- 香川県
- オオセト
- 高知県
- 土佐錦、吟の夢、夢一献
- 熊本県
- 神力
日本酒は銘柄ももちろんだが、原料米で飲み比べるのも楽しそうだ。