ノーベル賞を受賞したオートファジーとマクロファージの違い
今年のノーベル賞受賞者日本人第1号は、東京工業大学栄誉教授大隈良典氏に決定した。
医学生理学賞で『オートファジーの発見』だ。
オートファジー・・・マクロファージという言葉はよく聞くが、それとは違う。
オートファジーとは“自食”と呼ばれ、autoが「自分自身」phagyが「食べる」で『自食』となる。
では、マクロファージはどんな意味だろう。
スペルは「Macrophage」となる。オートファジーは「phagy」なので語尾が「ge(ジ)」と「gy(ジー)」に違いがあることに注意しなければならない。
つまりオートファジーはオートファージとはならない、逆にマクロファージはマクロファジーとはならない。
オートファジーはメカニズムの違いによって
- マクロオートファジー
- ミクロオートファジー
- シャペロン介在性オートファジー
の3つがあるという。一般的にオートファジーというと「マクロオートファジー」のことを指す。
ここで「マクロオートファジー」と「マクロファージ」を混同してはならない。
オートファジーについては、テレビでもあちこちの局が解説を行っている。
この動きはたぶんしばらくは続くだろうから、素人はあえて「オートファジー」について触れるのは避けて、マクロファージについて少しまとめてみよう。
マクロファージの機能とマクロオートファジーの違い
マクロファージとは白血球の一種で免疫機能を持つ細胞である。
体内に侵入した細菌・ウィルスや体内で発生する癌細胞を取り込んで食べてしまう「貪食作用」を持つ。
異物を食べてしまうという面ではオートファジーも同様である。
マクロファージの免疫機能はこの貪食作用以外に「抗原提示」という作用がある。
異物を食作用により取り込むと、異物の抗原部分を細胞の表面に表出させる。
するとこの抗原情報が、免疫部隊の司令官のような働きをする「ヘルパーT細胞」に伝わり、抗体を作り出して異物の無力化を行う。
大雑把に言うとこれがマクロファージの免疫作用である。
次に、マクロオートファジーの医療面での役割について少し見てみよう。
オートファジーにも免疫作用があることは研究によって明らかになっている。
しかも、有害な病原菌やたんぱく質だけを狙い打ちする「選択的オートファジー」という作用がある。
アルツハイマー病やパーキンソン病は、神経細胞内にできる異常たんぱく質が原因とも言われている。このような異常たんぱく質を除去する作用にも期待が持たれている。