国産義足で東京パラリンピックを戦う~その陰にある「テクニカル・ドーピング」とは
「国産義足で世界へ」という言葉が目に飛び込んできた。
技術大国日本が義足の世界では、ドイツやアイスランドの後塵を拝しているという。
アイスランドには義足の国際企業「オズール」がある。主力商品は「チーター・エクストリーム」という。ロンドンパラリンピック後に射殺事件を起こし、現在、裁判中の「オスカー・ピストリウス」が使っていた「チーター」の改良版である。
日本人選手も含め多くのパラリンピアンが使っている。
ところが同社の義足の素材であるカーボンは日本製だという。
日本製の義足がメダリストの足となる日も遠い日ではないと思われる。
障害者が健常者を超える日
障害者だからと言って、身体能力や運動能力が健常者より低いということは無い。
ただ、身体的に欠けている部分があるだけだ。その部分を補うのが義足などの装具である。
そしてその装具の性能は格段に良くなっている。
「私の計算では、2068年に男子100メートルで義足選手が五輪選手を抜きます」
と産業技術総合研究所の研究員である保原浩明氏は断言する。
参照 ⇒ vol1 義足が、拓いた 第2部 常識を超える力|チャレンジド wonder athletes:朝日新聞デジタル
そして「走り幅跳びは2016年8月下旬に健常者を超えます」とも言っていた。
現実に、パラリンピック走り幅跳びでは、ドイツのマルクス・レーム選手(T43/44)が8.21mを跳んでいる。因みに世界記録は同じくレーム選手の8.40m(2015.10.23の記録)だ。
では、オリンピックの記録を見てみよう。
金メダルはアメリカのジェフ・ヘンダーソンの8.38mだ。
すでにパラはオリンピックの記録を超えていたのだ。
テクニカル・ドーピング
パラリンピアンが使う様々な装具の技術開発のスピードはすごいものがある。
アスリート一人ひとりに合ったシューズなどのように、義足もそれぞれの選手に合ったものを開発し、装着すると記録はまだまだ伸びるかもしれない。
ところが、ここに大きな問題があるという・・・それが「テクニカル・ドーピング」というものだ。
薬ではなく装具によるドーピングと見做され、個別に作ることは出来ないという。
「国産義足で世界へ」は、ドーピングとの闘いかも知れない。
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