抗菌グッズの蔓延は人類の生存を脅かすことになるかもしれない

身の回りの品々に“抗菌”と書かれた物がやたらとある。
食品以外、日用品や衣類に寝具、住宅の部材やインテリア用品、さらに家電までとありとあらゆる物が抗菌なのだ。
最近は『暮らしにくくなったと嘆いている細菌』のコマーシャルまである。
数十億年前から地球に暮らしていた細菌たちは、安住の地を求めて地球外へと逃げだすのではないかと思うぐらいである。
ところが、存外そう簡単に細菌たちはギブアップしないようだ。

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抗生物質耐性菌という言葉を聞いたことがあるだろう。
MRSAとかMDRPとか、時々ニュースで聞くことがある菌だ。
本来、細菌に対して抵抗してくれる物質が抗生物質だが、その薬効に対する耐性ができてしまい薬が効かなくなる。

このような抗生物質耐性菌が生まれる原因は、抗生物質の多用だと言われている。

抗菌グッズに使われる抗菌のメカニズムも抗生物質と変わりはない。医薬品ほどの強い力はないが、細菌たちにとってはやはり生存を脅かす存在である。
したがって、抗菌剤に対して耐性を持った菌が生まれてくるのは当然のことである。

地球外に脱出しなくても、いずれ住みやすい環境になるように、細菌たちが変化していくのだ。

抗菌ブームが日本国内で始まったのは、1996年に全国的に大ニュースとなったO157の集団感染がキッカケである。
当時の厚生大臣菅直人が有名になるキッカケにもなった。

以来、抗菌、抗菌、と徹底的に細菌を周辺から追い出そうとする、まるで国民運動のような事態になったのだ。

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そもそも抗菌技術というものは、病院での院内感染防止のために使われていた。
狭い範囲でのことなので、耐性菌が生まれることまでは考えていなかったはずだ。
それが、全国的に広がってしまった抗菌ブームが、恐ろしい結果を招こうとしている。

抗菌グッズの蔓延はもうひとつの問題を起している。
“トリクロサン”という抗菌剤には環境ホルモンとしての作用が疑われている。
欧州や米国の一部州では使用禁止の措置をとった。

我が国はこうした動きに後れをとっている。
トリクロサンは主に薬用石鹸などに使われているが、化粧品にも使われている。現在29種類の商品が市販されている。

抗菌ブームからそろそろ卒業しないと、人類の生存が危ぶまれることになる可能性もあることを頭に入れておかねばならない。

02.抗菌薬をはじめからていねいに【総論】- 米内竜の迷走録

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