老健わたりの実態と介護事業が直面する大きな問題

朝日新聞のデジタル版に「老健わたり」という言葉が入ったタイトルの記事がある。

長期間の入所が認められていない老健施設を渡り歩きながら介護を受けることを「老健わたり」というようだ。

似たような施設に特別養護老人ホームというのがある。こちらは終身の介護を受けることができる施設だ。
高齢者の施設つまり介護保険の適用によって利用できるこのような施設にはいくつかの種類がある。

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【介護老人保健施設】
老健と言われる施設がこれだ。
病院での治療やリハビリを終えたが、自宅での生活は困難な状態の人を、この施設に一定期間期間入所させ、自宅で生活できる状態に回復させるのが主要な目的の施設である。その為入所期限があり、3か月ごとに退所か入所継続かの判定が行われる。
退所と判定された場合には、施設から退所を求められるが、自宅に帰っても満足に生活できる環境では無い人がたくさんいる。退所してから病院に入院したり、違う老健施設に入所したりしながら、自宅と施設を行ったり来たりしているのが実態だ。

【介護老人福祉施設】
いわゆる「特養」と呼ばれる施設がこれだ。
老健とは異なり、機能回復を行って自宅に戻すことを目的としてはいない。つまり入所期限は無いのだが、病気などによって病院に入院し、3か月以内に退院すると再び入所できるが、病院での入院が3か月を超えると入所権を失ってしまう。

【療養型介護老人保健施設】
医療療養施設と特養の中間に位置づけされるのがこの施設。
2019年3月末までに事業形態の転換が行われる、介護療養病床の転換後モデル施設である。
入所期限が無く、施設での介護が困難な状態となって病院に入院した場合、3ヶ月以内に施設に戻ってこれない場合には入所権を失うのは特養と同じである。

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上記の3つの施設のうち、療養型介護老人保健施設は介護に併せて医療行為も必要な人向け、要介護度が高い人には介護老人福祉施設、自宅での生活が期待できる程度に軽い人は介護老人保健施設となる。

特養は入所希望者より施設の数が圧倒的に少なく、どうしても自宅での生活が無理な人が、特養までのつなぎのために老健に入所するケースもあるのが実態だ。
つまり、老健わたりが起こる原因は特養の絶対数が少ないことなのだ。

では、老健わたりを無くすには特養をたくさん作ればいいのだが、特養は介護保険が適用される施設。つまり税金が投入されて運営している事業であり、足りないから作るという簡単なものでは無い。

ところが大阪市では、平成29年度に、特養入所希望者全員が入所できるようにするとあの橋下市長がおっしゃっている。
さてさて、入所希望者とはどこまでの人のことなのだろう。

実は、入所申込の中には「将来的に不安なため今のうちに特養に申し込んでおこう」という人がかなりの数に上るらしい。
待機者のニーズと入所決定のあり方等に関する研究によると、特養申込者のうち本当に入所が必要な人の割合は約1割だそうだ。

大阪の特別養護老人 ホーム希望者全員入れる 平成29年度より

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