ワンルームマンション新築規制を続ける行政と増加する単身世帯

東京都23区では数年前から、ワンルームマンションの“新築規制”を行っている。
新築規制とは、ワンルームマンションを建てる場合には、最低面積の基準とか1棟におけるワンルームタイプの割合とか、建築時の課税などにより、着工棟数(戸数)を制限する目的で地方自治体が行っている条例や行政指導である。

ワンルームマンションが増え、単身世帯の割合が増加すると、地方自治体にとってはあまり嬉しくないことが多くなり、規制せざるを得ないらしい。

具体的には

  • 住民登録を実家などにしたまま東京都内に無いので住民税が課税できない
  • 近隣との付き合いも無く地域コミュニティ形成の障害となる
  • ゴミ出しルールの無視など行政サービスのコスト高を招く

このような弊害が目立ち、行政としては受け入れたくない住民を招くのが“ワンルームマンション”だというわけだ。

行政にとっては迷惑とも言える存在の“ワンルームマンション”だが、不動産投資家の間では投資効率の良いマンションタイプとして知られている。
特に首都圏は地方都市に比べてワンルームマンションのニーズが高く、空室率を低く抑えることが可能だからだ。

ところが先に書いたように“新築規制”により、ワンルームマンションの新築物件はいろんな制約を受け投資効率が悪くなる。そこで注目されているのが、既存物件のリニューアルだ。

築年数の古い物件を改装し、更に20年、30年と賃貸物件として活用しようという動きがある。
そのような物件を専門に開発している業者や、投資物件コンサルティングを行う業者もいる。

建替えよりも既築物件の活用は、スクラップアンドビルドからストック活用という時流に乗った考え方のようにも思えるが、劣悪物件の寿命を延ばすという一面もある。

建築行政には“既存不適格”という言葉があり、現在の法律に適合しない場合でも、使用を認めているケースがたくさんあり、耐震基準の古い物件でも、法的要件さえ満たせばいつまでも使い続けることができるようになっている。

いつか来ると言われている大地震に備え耐震化を促進しながら、一方では古い建築物がいつまでも存在できるような環境を作り出している。

単身世帯が増加するのは、都市にそのような魅力があり、都市に暮らすメリットがあるからだ。
さらに少子化高齢化が進む日本において、単身世帯の増加は避けることのできない現象だ。

“新築規制”などという小手先の手法は止めて、単身世帯が増加する現実を受け止め、単身世帯が楽しく暮らせる街づくりを目差してはどうだろう。

更にもう一つ指摘しておきたいことがある。
行政が嫌う“単身世帯”とは若い世代をイメージしているのではないだろうか。
これからは、高齢者の単身者が大きく増えることを前提にしておかねばならない。
すると、規制のあり方が少し変わってこないだろうか?

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